

片隅企画#2
『壁-その前に広がる曠野 その果てにある都市-』
原作=安部公房
上演台本・演出=大瀬戸正宗
2024年1月20日-21日 山小屋シアター
2024年3月9日-10日 善通寺市民会館 講堂


出演
黒木麻絢 小林明葉(片隅企画) 椙田航平 福島優菜(片隅企画/アルヒツト) 堀慎太郎
スタッフ
ドラマトゥルク|椙田航平
舞台美術・宣伝美術|大瀬戸正宗(片隅企画/サラダボール)
照明|中村友惟(び〜はいぶ)
音響デザイン|福島優菜 (片隅企画/アルヒツト)
照明オペレーション・演出助手[香川公演]|今井真心人
音響オペレーション・演出助手|奥竜之介
舞台監督・映像|中村智和(なむペン)
衣装|目黒眞子
舞台監督補佐・舞台美術補佐|池内怜士
照明補佐[香川公演]|島本歩花
振付協力・舞台美術補佐|関口晴(アルヒツト)
劇中歌制作|椙田航平 福島優菜
制作|尾﨑海斗(片隅企画) 中越唯菜
制作補佐|桑原日和(片隅企画) 土田倭也(片隅企画) 福島彩香
制作協力[広島公演]|(一社)舞台芸術制作室 無色透明 稲垣真悠
当日運営[香川公演]|加藤優和 武内愛実
[主催・企画制作]片隅企画
[助成](公財)置県百年記念香川県文化芸術振興財団
[後援](公財)広島市文化財団
[協力]世界劇団 サラダボール ( 有 ) ミュウ・ライティング・オフィス 劇団 Nuts’ 高山泰秀 福家雄介 カルテット・オンライン
公演概要
ああ、こいつはひろすぎる。ひろすぎて、ここにはもうひろさがない-
安部公房の芥川賞受賞作「壁−S・カルマ氏の犯罪」を大胆に再構成し、上演。
際限のない成長と発展を続ける現代社会のシステムに取り残された人間が向かうのは、なにもない曠野なのか、自分の部屋なのか。
社会の、生活の、わたしたちの中でぽっかりと口をあける空洞。
その中にある“何か”を、安部公房のテキストをたよりに、喜劇的かつ不条理に、あくまで曖昧に描こうとする挑戦作。
あらすじ
ある朝、男は自分の名前を失ってしまう。名前は名刺そのものとなって分離し、男の社会的な地位までも全て奪い去り、その男としての生活を始めていた。自らの帰属すべき場所を無くした男の目には、現実世界が奇怪なものに映り、男の胸は穴が空いたようにからっぽになっていた。やがて胸の穴は激しく何かを求めはじめ、ついには写真の中の曠野風景を吸収してしまう。男の胸の中の曠野は、高層ビルがそびえ立つ都市とは対照的に、遮るものが何もなく、永遠に続くような地平線があるのみであった。
当日パンフレットコメント(大瀬戸)
香川県を中心に、片隅企画という小さなユニットで演劇をやっております、大瀬戸正宗と申します。
広島出身の私には、久々の地元での舞台です。そして片隅企画では初の広島公演となります。この地で作品を上演できる機会をいただき、嬉しい限りです。
今回は作家・安部公房による、芥川賞受賞作「壁-S・カルマ氏の犯罪」を演劇作品にリライトし、上演します。この作品はいわゆる不条理やシュールレアリスムなどのジャンルの作品で、あり得ないことや常識はずれのことが次々と起こっていきます。本作では、主人公のS・カルマ氏が朝起きると自らの名前を失っているというシーンから始まります。「朝起きると〇〇」はフランツ・カフカの「変身」然り、不条理作品の定番だと聞いたことがあります。しかし、安部公房はそうした悲劇的とも言える状況を全く悲劇として描きません。今私たちが生きている逃れられない状況として、客観的かつ抽象的に描いています。
安部公房の作品には、一見理解できないような、さまざまな奇想天外なモチーフが登場します。ですが、それらのモチーフは鋭い社会批判(批判、ではないかもしれません)であったり、現代社会の規範化やシステム化によってもたらされた人間同士の繋がり・社会の空洞化を感じさせます。だからこそ執筆から70 年経った今でも通用するテーマが含まれているのだと思います。
この作品に取り組み始めてから、自分の部屋というものが不思議なものに感じるようになりました。四方を壁で仕切られ、自分ひとりしかいない空間。そこで感じる妙な安心感は何なのでしょうか。「壁」の存在がそうさせているのでしょうか。この安心感は部屋とは逆に、遮るもののない曠野にも通じるものなのかもしれません。だからこそわたしは地平線が延々と続く風景に惹かれるのかもしれません。
まとまらない考えを長々と書いてしまいましたが、この作品はファンタジーです。奇怪な状況や演劇での表現を楽しんでいただければ幸いです。
本日はご来場いただきありがとうございます。
演出 大瀬戸正宗
《広島公演》





《香川公演》












